2014/11/01
清算業務(3)



1. 合弁終了契約
前述したように第1回目のMeetingだけは行ったが、あとは書面によるコメントの応酬が主でした。先方からベトナム語のコメントが来て、それを当方の英系弁護士事務所が英文のDraftに反映させたものを当方が検討して、当方の英文のコメントをベトナム語にして先方に提出という手順を繰り返していました。当方のコメントに対して先方から回答があるのが通常1週間程度だったと記憶しているのでとにかく時間がかかりました。一生懸命に検討して、東京にFaxで連絡して、コメントを準備してという作業を別室に籠って一生懸命やっていました。先方からのコメントを待っている間もやることはたくさんあり忙しくしていました。
2. アメリカ系銀行
(1) 当方の弁護士が作成したDraftは最初からEscrow Accountの設定を前提にしていて、果たして先方が設定にOKと言うかなと思って心配していたのですが、すんなりOKしたので意外な感じがしました。もしかしたら当時ベトナムで流行っていた手法だったのかもしれません。合弁終了契約締結後の話になりますが、株譲渡代金を一旦Escrow Accountに振込み、いくつかある(確か4-5個あったと思います)条件を成就して初めて国外の日本の株主に送金出来るというものでした。成就すべき条件の主なものが、ベトナム中央銀行による合弁終了の最終的な承認、及びベトナム国外への送金の承認だったと思いますが、この承認が何時になるのかよく分からず結局6カ月ほどを要したのですが、途中で本当に承認されるのかどうか不安になり「現金を船に積んで(おそらく)香港に逃げようとして火事になり船も現金も燃えてしまった」という夢を見て目が覚めたということがありましたね。
(2) とにかく、当方の弁護士事務所と同じビルにあったアメリカ系の銀行のEscrow Accountを設定することになり、Feeの話やFee Letterの話で何度かMeetingを持ちましたがFee自体はそれほど高い水準ではなかったと記憶していますが、かなりの金額が約6ヵ月間Escrow Accountに(当方にとって)無利息で寝ていたので銀行側にはそれなりに儲けがあったのでははと思います。
3. 4大事務所の中の一つの国際会計事務所
依頼したのが大まかに以下の3点のTax Clearanceだったと記憶しています。
・合弁会社自体のTax Clearance
・日本の株主2社のTax Clearance
・日本側の役員に関するTax Clearance
(1) 要はベトナムでの税金について納税をきちんと行っていて未払いはないということの証明ですが、これが分かったような、分からないような点が多く、最後までなかなか出せなかったような記憶があります。日本側の役員に関するTax Clearanceについては、私は当時長期出張者という立場だったので関係なかったですが、形式的に日本人の役員が2名いたためそのClearanceが必要でした。
(2) このTax Clearanceの一部もEscrow Accountから送金するための条件だったと思います。
(3) 最終的に帰国する時にはTax Clearanceの本紙を内ポケットに入れていて、出国審査の際に係官から求められれば提示するようにと注意されていましたが、結局求められることはありませんでした。
(4) そもそもベトナムから出国する時に、Business Visaを有する人物かどうかはPassportを見れば分かりますが、一時帰国か本帰国か、Tax Clearanceを提示すべき出国者かどうかについて係官の方で果たして把握できるのか何時も疑問に思っていました。入出国審査の時に係官はコンピュータの画面を一生懸命に見ていますが、あそこには一体何が書かれてあるのでしょうか?しかし実際に提示を求められたことがあるという話を聞いたこともありますね。
(5) ちなみにコンピュータといえば、当時航空チケットは東京・香港経由・ハノイ間のキャセイ・パシフィック便の往復を購入していましたが、ハノイ・香港間の航空券の座席表示記載はマジックで手書きでした。2010年12月の再訪時にハノイから帰国する時にノイバイ空港にてコンピュータで印字された航空券(但し香港経由ではなく成田へ直通でしたが)を手にした時は密かに感激したものです。



Posted by tsukuma at 05:56│Comments(0)