2012/09/22
アジア通貨危機

アジア通貨危機は1997年7月からタイを中心に始まったアジア各国の通貨下落現象とのことですが、各国のいびつな資本収支構造に対してヘッジファンドが通貨の空売りを仕掛けたことによりアジア地域で広範な経済危機が起こり、特に、タイ、韓国、インドネシアの3カ国はIMFの融資管理の対象になりました。当時ハノイでもアジア全体の経済に大変な状況が起きていることはテレビ等のニュースで連日報道はしていましたが、ベトナムも日本もかなりの影響を被ってはいたはずですが、私の仕事には直接関係がなく日々忙しく過ごしていました。ベトナムでは少なくとも危機というほどでは無く、その理由としてネットでは「当時は証券取引所が存在していなくて、さらに外国為替取引は実質的な固定相場制のもとで厳しい管理下に置かれていた。ベトナムは金融資本市場が未発達・未開放だったため、アジア通貨危機に伴う為替相場急落による経済の大幅マイナス成長を免れた。」との記載があります。当時、ベトナムドンの対ドル対円のレートにも特に大きな変動は無かったと記憶しています。ただ、私が大きな異変を感じたのは韓国人達の動きでした。韓国がIMF管理になったのは1997年12月だったそうですが、とにかくあれほど大勢いた韓国人があっという間にいなくなってしまいました。韓国は国家も財閥も企業も好調と思っていたのであまりの突然の変化や動きに驚いてしまいました。友人だった大宇のマネージャーは長期投資資金を外貨建ての短期で調達というミスマッチが原因と言っていたような記憶があります。韓国人の数が急に少なくなった影響は至る所で見られ、分かりやすいところでは市内の韓国人専用のカラオケクラブ等は閑古鳥が鳴いていたそうです。韓国に関しては2008年の金融危機の際にもアジア各国で当時ほどではないにしても同じような現象が起こったそうで、一方サムスンを初め韓国企業の業績は好調で最近の国債格付は日本を上回りましたが、構造的に外的要因による影響を受けやすいようです。ベトナムは経済の大打撃は免れたものの、それまで活発であったベトナムに対する海外投資が急速にしぼんできてその後数年は成長率が大きく落ち込むことになりました。ベトナムにおける不動産に対する開発案件も大きな影響を受け、ハノイではそれ程目立ちませんでしたが出張先のホーチミンでは途中でストップしていたオフィスビルやホテルを至るところで見かけました。
Posted by tsukuma at 04:01│Comments(0)